はじめに

文星閣は創業から76年以上、印刷業界の歴史とともに歩んできました。
しかし、世界がデジタル化の波に飲み込まれる中、印刷業界にも変革が求められています。

その中で私たちは、未来を切り拓くための航海に出る決意をしました。その航海の羅針盤となったのが、Salesforceを活用した基幹システムの再構築です。

これは単なるシステム導入にとどまりません。
私たちのDX航海は、文星閣の未来、さらには印刷業界全体の未来を変革する可能性を秘めた挑戦の物語です。

DX航海の出発点—Salesforce導入

長年の経験と実績を持つ一方で、当時の私たちはいくつも課題を抱えていました。

属人的な業務運用によって業務効率は低下しており、営業・製造・管理部門が独立した情報を抱えて全体の連携が弱く情報の分断が生じていました。さらに導入から時間がたっていた老朽化したシステムの運用は業務の進化を妨げていました。

これらの課題を解決し未来の成長基盤を築くために、私たちは「Salesforce」を選んだのです。

Salesforceは情報を一元化し、業務フローを効率化するための包括的なプラットフォームです。
当初「Salesforceは高価すぎる」「使いこなせるのか」といった声もありました。しかしこの挑戦は未来を切り拓くための重要な一歩であり、「やるべき時にやるべきことをする」という強い覚悟のもと、導入が決定されました。

嵐の中の航海 — Salesforce導入の難関

Salesforceの導入によって私たちは新たな課題に直面しましたが、一つ一つ乗り越えてきました。

1. チーム体制の崩壊と再構築：プロジェクト開始直後、主要メンバーが退職するというアクシデントに直面。計画が大幅に遅れる一方、新しいメンバーを迎えたことでゼロからプロジェクトを再構築するチャンスともなりました。

2. システム部の新設と内製化への挑戦：Salesforce導入を機に「システム部」を新設し内製化しました。社内ニーズに応じて柔軟かつ迅速にカスタマイズできるだけでなく、長期的に見ると外部委託よりもコストが低減、運用に関するノウハウが社内に蓄積され持続可能な体制が整いました。

3. 社員のITリテラシー向上：DX推進には全社員がツールを使いこなせる環境が欠かせません。社内ヘルプデスクを設置し、段階的なITツールの導入により徐々に効果を実感。そして各部署での意見を都度システムに反映し、文星閣ならではのSalesforceを構築していきました。

4. 部門間の認識ギャップ：当初はDXに対する期待や理解が各部署で異なっていました。改めてプロジェクト全体の目標共有の場を設け、各部門が協力しやすい環境を整えました。

DX航海の現在地 — 再構築された基幹システム

Salesforceを活用した基幹システムの再構築は、以下の成果をもたらしました。

まずはデータ連携の最適化です。営業、製造、管理部門がリアルタイムでデータが共有可能になり、お客様への対応のスピードと精度が向上しました。
見積もりから納品までをSalesforce上で統合する業務フローの再構築によって、煩雑な手続きが大幅に削減されました。また、Salesforceの分析機能は進捗状況を可視化し、成果の見える化は経営層と現場の間で共通の目標を共有できるようになりました。

未来への航路 — 文星閣のビジョン

Salesforceを基盤として、文星閣は未来に向けて一層の成長を目指しています。

業務のさらなる自動化を進めることで重複作業を減らし、社員がさらに実りある業務に取り組める環境を構築します。
オンラインDXでオンライン上での見積もり・発注・請求管理を進めることで営業範囲の拡大を目指していき、OCR機能や帳票出力機能、在庫管理ツールを追加・改良によって業界へのシステム提供を視野に入れ、印刷業界全体をサポートする道を模索します。

小さな一歩、しかし大きな一歩

Salesforceプロジェクトは、文星閣にとって未来への第一歩です。
導入プロセスで多くの壁にぶつかりましたが、それを乗り越えることで、組織全体が新たな成長を遂げました。
文星閣のDX航海で得た知見と挑戦は単なるシステム構築を超え、印刷業界全体の進化を後押しするモデルケースとなる可能性を秘めているでしょう。

私たちの航海は始まったばかりです。お客様の満足度をさらに向上させ、印刷業界の未来を切り拓く挑戦を続けます。