皆さん、こんにちは
株式会社文星閣 CSOの奥 武士です。
今回は、『採用活動の印刷物をアップデートする』というテーマで、採用活動において印刷物をアップグレードするために重視すべきポイントを、
私自身が実際に採用活動を行い感じた近年の採用マーケットにおけるトレンドも交えて紹介させていただきます。
アフターコロナの世界で求められる企業のあり方とは?
2020年、新型コロナウイルスのパンデミックは私たちの社会の変化を加速させました。
それは現代に生きる人々の環境や社会問題に対する意識の変化、つまりは消費者行動の変化となり、企業のあり方にも大きな影響を与えました。
実際に、SDGsとESGの取り組みに対する注目度の向上は、採用ブランディングにおいても重視すべき項目が変わったとも言えます。
環境や社会問題に対する意識の変化は企業に対する意識の変化を促し、サステナビリティ経営や脱炭素経営、カーボンニュートラル等、2020年からメディアなどで多く取り上げられようになったキーワードのように、自然環境・社会・経済にも目を向けた事業活動への注目度を向上させました。ここ数年間で、企業は社会的に売上・利益だけを追い求めるだけではなく、自然環境・社会・経済にも目を向けた事業活動を行うべきであるという考え方が広まり、同時期に、『Harvard Business Review』誌に、成長する企業の特徴としてパーパスブランディングが取り上げられ、さまざまなメディアで、企業のパーパス(存在意義)に関する情報が取り上げられました。
そして、採用マーケットにおいては、企業のパーパス(存在意義)を重視する考え方は、求職者が給与や権力などだけではなく、企業のパーパスに共感を持てるかどうかを会社を選ぶ軸とする傾向として現れています。
株式会社学情(本社:東京都千代田区)によるアンケート調査によると「パーパス」を制定する企業について、「好感が持てる」と回答した20代が27.2%に上りました。「どちらかと言えば好感が持てる」36.0%を合わせると、6割以上の20代が「パーパス」を制定する企業には好感を持っていることが分かります。また、転職活動において「パーパス」や「企業の社会貢献性」を意識すると回答した20代が、約半数を占めました。「自分がありたい姿、目指したい姿と方向性が合致している企業で働きたい」「企業がどのように社会に貢献していこうとしているかを知れれば、仕事を通してどのように社会に貢献できるかイメージが持てる」などの声が寄せられており、企業と自身の目指している方向性が合致しているかを意識していることが分かります。
これらを踏まえ、採用活動において印刷物をアップグレードできるポイントを3点紹介します。
- 明確なパーパスを設定し、社会にどんな価値を提供しているのか簡潔に定義する。
:サービス案内、会社案内などの印刷物コンテンツ・HPやメールなどのデジタルコンテンツに反映させる - 自然環境・社会・経済にも目を向けたサービスとパートナーシップを結ぶ。
:事業運営のために必要なサービスや原材料、エネルギーなどへの配慮を認証マークやノベルティグッズ等で発信する - 企業の存在意義をリアルなコミュニケーションを通して伝える
:求職者に対してだけでなくステークホルダー全体に会社の存在意義を、さまざまなコミュニケーションで伝える(制作物、採用ページ、求人媒体、求人サービス等)
明確なパーパスを設定し、企業がなんのために存在し社会にどんな価値を提供しているのか簡潔に定義する。
企業の存在意義は、経営理念として今まで、ビジョン・ミッション・バリューの3点を持つべきだという考えが定石であり、弊社も昨年より行っている経営改革に乗じて、ビジョン・ミッション・バリューを定めました。しかし、我々も含め多くの企業が設定しているビジョン・ミッション・バリューは抽象的なものが多く、実際に働いている社員や求職者にとって価値観の共有が難しいのが現実です。
実際に働いている社員や求職者にとって価値観の共有を可能にするためにも、何のために企業が存在しているのかを明確に定義する必要があります。企業に必要な経営理念は抽象的で外発的なビジョン・ミッション・バリューではなく、具体的で内発的なパーパス(Purpose)・ドリーム(Dream)・ビリーフ(Belief)へとシフトしているのです。
雇用機会が豊富な場合、求職者は、どこで働きたいかについてたくさんの選択肢があります。競争力のある賃金を提供している場合でも、人材獲得では他の武器が必要です。特にミレニアム世代を中心推した若年層の求職者は、パーパス(Purpose)・ドリーム(Dream)・ビリーフ(Belief)に対し共感を持てるかどうかを重要な価値基準に置いています。
LinkedInの調査によると、LinkedInのメンバーの38%は、目的がお金やステータスと同等に重視されていると考えており、パーパス志向の専門家は、パーパス以外の専門家と比較して3年以上会社に滞在する可能性が高いことを示しています。パーパス志向の専門家によるこれらの調査は、組織が主要な採用メッセージの1つとしてパーパスを使用する必要があることを示唆しています。
これらはベンチャー企業や中小企業など、競争力のある賃金を提供できない企業にとってはチャンスになります。
なぜなら、今後採用市場において求職者が重視するのは、企業の過去ではなく、これから企業が進む未来だからです。
従業員と求職者は、長い説明なしに会社のパーパスを理解し、伝えることができなければなりません。ミッションステートメントを作成または改訂するときは、明確さと簡潔さを念頭に置いてください。それは従業員と幹部が価値観を共有してコミットできるものにする必要があります。
流行語を使っただけの薄っぺらいものではなく、会社の存在意義を理解し、それを強力で感情的な説得力のある声明に変えてください。
2.自然環境・社会・経済にも目を向けたサービスとパートナーシップを結ぶ
会社の存在意義が定義されたら、会社や従業員の持つ価値観を美辞せずモデルに反映させることが重要になります。
例えば、環境への配慮が存在意義の中に含まれているのならば、電力や資材、機械など事業を行うために必要な取引先の選定に関しても、環境への配慮が事業運営に反映されているかどうかにも目を向けるべきです。
特に中小企業やベンチャー企業は、自社だけでできることはそう多くありません。しかし、企業の価値観を共有できる取引先がいれば、実現できる未来の可能性も広げることができ、求職者に対し可能性をアピールすることができるのです。
事例
3.企業の存在意義をリアルなコミュニケーションを通して伝える
多くの求職者にとって、面接や説明会などで受ける会社説明は会社の第一印象になります。つまり、短い時間で会社のパーパスと求職者の価値観が一致しているかどうか判断する必要があります。
実際に採用面接を行なっていく上で、課題に感じたことの一つとして、直接伝えないと伝わりづらい会社のパーパスと事前に調べれば分かる会社説明の境界がわかりづらいという点があります。
特に日本の就活では、形式的なイベントも多く企業の本音が見えづらいようにできています。そのためにも、採用のための会社案内などによって事前に知っていてほしい会社の情報を共有できれば、面接はお互いの価値観を共有し合う時間に当てることができます。徹底して互いのパーパスを追求することで、新入社員の離職率を下げ、優秀な従業員の離職を防ぐ可能性があるのです。採用チームの時間とお金を節約し、従業員の定着率を高めるために、採用中だけでなく、社内のコミュニケーションにおいても、各従業員の役と目的のすり合わせをすることも重要です。
去年より、弊社では採用手法の一つとして、アウトロー採用(対話型就活)という変わった採用イベントに参加しています。次回の記事で詳しく紹介します。
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