水なし印刷の網点再現性

2021年 07月 01日 水なし印刷の網点再現性

水を使わないから、にじまない

 

水なし印刷はインキが水でにじまないため、網点の一つ一つがクリアに表現され、高精細な美しい仕上がりが得られます。また、水なし印刷なら非塗工紙(上質紙、ファンシーペーパー、ファインペーパーなど)のように平滑性があまり高くない用紙の場合でも、データ通りの美しい印刷を再現することができます。

 

 

網点比較

 水なし印刷 

円形のアミ点が、用紙上の正確に再現されています。紙の凹凸も仕上がりに影響を及ぼしません。

 

 水あり印刷 

本来は円形に再現されるべきアミ点が、インキのにじみと紙の凹凸によって変形しています。

 

 

印字比較

 水なし印刷 

小さな文字のディティールまで見事に再現されています。

 

 水あり印刷 

小さな文字を拡大してみると、カスレやツブレが目立ちます。

水なし印刷はインキが水でにじまないため、網点の一つひとつがクリアに表現され、高精細な美しい仕上がりが得られます。
また、水なし印刷なら非塗工紙(上質紙、ファンシーペーパー、ファインペーパーなど)のように平滑性があまり高くない用紙でも、データ通りの美しい印刷を再現することができます。

そしてこの特性は、文星閣の 技術教育・品質安定化・コスト構造・環境配慮 のすべてに大きなメリットをもたらします。


■ 印刷技術教育を“再現性ベース”に変える

水あり印刷では、水とインキのバランス調整がオペレーターの経験値に依存します。
一方、水なし印刷ではこの“熟練の勘”に当たる調整工程が大幅に減るため、

  • 新人教育が早い
  • 標準化が進む
  • 各オペレーターの癖によるブレが減る

という構造に移行できます。

つまり、技術伝承の難易度が下がり、生産体制が強くなる

文星閣の教育カリキュラムとの相性も非常に高く、網点の読み方・色再現の理解・標準値管理など、理論教育と実技教育の統合が進みます。


■ 網点再現性が安定する → 品質基準が揺らがない

水を使わないことで、湿し水の状態や気温・湿度に左右されにくくなります。
その結果、朝でも夜でも、誰が刷っても、ほぼ同じ品質が出る

これは工場全体の品質管理にとって決定的に大きく、

  • 「今日だけ濃い / 薄い」のムラが消える
  • 校正紙と量産のギャップが小さくなる
  • 色ブレによる手戻り・刷り直しが減る

など、日々の“ロスの原因”が減少します。

文星閣の「品質と生産性を両立させる工場づくり」の核となる部分です。


■ コスト構造にも効く

水なし印刷は、一見すると版コストが高く見えますが、トータルではむしろコストダウンを実現できます。

  • 立ち上がり時間が早い(調整時間短縮)
  • 紙・インキのロスが減る
  • 手戻り・刷り直しが減る
  • オペレーターの負荷が低く、人材育成スピードが上がる

つまり、生産性が上がり、総コスト(TCO)が下がる構造。

特に文星閣のように大型案件・多色案件を扱う会社では、この“チリツモ”が年間で大きなインパクトを生みます。


■ 環境性能は、これからの時代の標準

水なし印刷は、水を使わないだけではありません。

  • VOC排出削減(湿し水由来の揮発成分が減る)
  • 廃液が出ない
  • 再生紙や非塗工紙との相性が高い
  • 「環境配慮型印刷」として顧客価値も高い

環境認証やESG文脈でも評価されやすく、
企業としての競争力そのものを高める効果があります。

文星閣が推進している「環境対応印刷」の柱として、水なし印刷はこれからますます重要になります。

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